どうしよう返せない! の前に債務整理を知り尽くす
テレビでよく法律事務所の債務整理を呼びかけるCMを目にしませんか。
自分には関係ないと思っていても、クレジットカードのリボ払いや、簡単に借りられる銀行や消費者金融のカードローンも、油断をしていると返済不能に陥ってしまいます。
債務整理は、真面目に返済をしていても、何らかの理由で借入を繰り返してしまい、ついには支払能力を超えて返済が出来なくなってしまった人を法的に救済する方法です。
債務整理にはいくつか種類があり、借金の種類やその人の経済状態によって選ぶ方法が異なります。
債務整理の種類
債務整理には大きく分けて4つの方法があり、簡単に説明すると下記のようになります。
- 自己破産…裁判所を通して、借金を免除してもらう方法
- 任意整理…債権者との交渉で3~5年に渡って返済していく方法
- 個人再生…裁判所を通して、大幅な借金の減額をしてもらい返済していく方法
- 特定調停…簡易裁判所が間に入り、債権者と債務者の話し合いで解決していく方法
一般的によく耳にするのが、自己破産と任意整理の2つではないでしょうか。
それぞれに特徴があり、自分の借金の状態や収入によって選ぶ債務整理の方法が異なるので、まずは専門家に相談して自分に合った借金解決の方法を知ることが肝心です。
専門家に相談し依頼をすると、すぐに債権者に受任通知が送られて督促が止まりますので、借金をすでに滞納してしまっている人は、すぐに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
面談やメールで無料相談もできるので、積極的に利用してみましょう。
自己破産は借金を帳消しにしてもらえるってホント?
自己破産は、裁判所を通して今ある借金を帳消しにしてもらい、まさに借金ゼロになれる方法です。
借金の額が多額だったり、病気やケガ、高齢などの理由で継続的な収入が見込めない人、高額な資産がない人が選ぶ債務整理の方法です。
借金がゼロになるのでとても簡単な方法に思えますが、現在持っている自分の資産も、同時に処分しなくてはならない義務も背負います。
自己所有の家やマンション、車、生命保険の返戻金や一定額以上の現金は処分の対象になり、債権者に平等に分配されます。
そのため、自己破産を選ぶ人は、もともと高額な資産を所有していない人が望ましいといえます。
また、自己破産は裁判所を通すため、破産開始決定された時と破産免責決定された時の2回、「官報」という政府が発行している機関紙に掲載されてしまいます。
ただし、あまり一般の人の目に触れることがないため、官報から自己破産が知られてしまう確率は低いといえます。
ブラックリストに載りたくない
自己破産をすると「ブラックリストに載る」とよく耳にしますが、本当にブラックリストに自分の情報が登録されるのでしょうか。
このブラックリストというのは、CICやJICC、全国銀行協会、全国銀行個人信用情報センターといった信用情報機関に情報が記載されるということです。
債務整理をすると、この信用情報機関に一定の期間その情報が記載されるので、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組むことが難しくなります。
そのことを「ブラックリストに載る」という言い方をしているので、実際にブラックリストがあるわけではありません。
もちろん一定期間だけなので、その期間が過ぎれば債務整理をした情報はなくなります。
自己破産には2つの種類がある
実は自己破産の中には2つの種類があり、「同時廃止」と「少額管財」があります。
一般的には同時廃止が取られることが多いのですが、ギャンブルや浪費での借金、自己破産直前の借金、事業資金での借金などの場合、少額管財として扱われることがあります。
少額管財には管財人がつき、借金の内容や資産について調査を受けるなど、様々な制限があります。
郵便物の中身をチェックされることもあり、住んでいる場所を明確にし、勝手に移動ができない居住の制限などもあり、同時廃止よりも期間や費用の面だけでなく、生活に制限が出てくる可能性もあります。
自己破産のメリットデメリットとは
自己破産のメリット
- 抱えている借金が帳消しになる
- これからの人生に希望を見出せる
- 自己破産後の給与は返済ではなく貯金に回せる
自己破産のデメリット
- 多額の現金や高価な資産は処分しなければならない
- 一定期間、新たなクレジットカードやローンが組めない
- 一定期間だけ就けない職業がある
- 官報に名前や住所が載る(2回)
任意整理は自己破産よりも損?
任意整理のメリットデメリット債務整理の中で自己破産と共にポピュラーな任意整理ですが、自己破産と何が違うのでしょうか。
自己破産と任意整理の一番の相違点は、裁判所を通すか通さないかです。
自己破産が裁判所を通して借金を帳消しにしてもらうのに対し、任意整理は裁判所を通さずに、債権者との話し合いによって和解し、毎月一定の金額を数年に渡って返済していく方法です。
通常3年で完済が原則ですが、債権者によっては5年の期間を認めてくれることもあります。
もちろん、間には弁護士や司法書士が入り交渉を行ってくれるので、自分で債権者と話し合う必要はありません。
中には弁護士や司法書士に依頼をせずに、自分で任意整理の手続きをする人もいるようですが、大変な労力とストレスがかかると予想されます。
ただ、費用の面で大きな節約になるメリットもあります。
任意整理にはこんな人が向いている
任意整理は、3~5年で完済できるだけの継続的な収入がある人、借金の総額が多額でない人が向いています。
なんとしてでも返済したいという気持ちがあっても、収入が少ない場合や借金の総額があまりに多額な場合は、弁護士や司法書士の判断で自己破産をすすめられる可能性があります。
任意整理のメリットとデメリット
任意整理のメリット
- 裁判所を通さないので官報にのらない
- 任意整理後の金利が付かないので、返済がしやすくなる
- 複数の借金のうちの任意整理をするものとしないものを選べる
- 3~5年で完済するという目途がつく
任意整理のデメリット
- 新たにクレジットカードを作ったりローンを組めなくなる
- 数年間に渡って返済し続けなければならない
まだあるこんな債務整理
処分したくない財産がある人の味方「個人再生」
多額の借金があり自己破産が妥当、でも持ち家は手放したくないなど、失いたくない財産がある人には個人再生という方法があります。
今抱えている多額の借金(ただし5,000万円以下)を、裁判所を通して大幅に減額してもらい、数年に渡って返済し続けていく方法です。
通常なら自己破産が妥当な借金でも、大幅な減額が望めるので数年で返済していくことが可能になり、自分の資産を処分する必要がなくなります。
この債務整理の方法も、任意整理と同じように、数年に渡って返済していく気力や経済力も必要になりますので、無理せずじっくりと債務整理の方法を選びましょう。
聞き慣れない特定調停ってなんだ
債務整理の中でもあまり聞いたことがないのが特定調停ではないでしょうか。
任意整理と同じように債権者との話し合いによって和解していく方法ですが、特定調停は簡易裁判所を通して行います。
債権者、債務者、調停委員の間で話し合いが行われていきますが、なかなか話し合いがまとまらない場合もあり、時間がかかることもあります。
早い解決を希望する場合は、任意整理を選んだほうがいいかもしれません。